とんかつをアテに焼酎で一献
南向きの窓から差し込む光が心地よい「とんかつ屋方(やかた)」。席は、料理場を囲むカウンターのみで、間接照明があてられた壁には絵が飾ってあり、BGMは静かに流れるジャズ。ちょっとお洒落なとんかつ屋です。
店主の屋方満憲さんは、とんかつが好きだったことから、とんかつ専門店を始めました。「ランチにしっかり食べていただくのはもちろんですが、とんかつをアテにお酒を飲むといった、大人のとんかつも楽しんでいただきたいと思っています。出身が福岡なので焼酎も用意しています。これが結構合うんですよ」と話します。
メニューを見ると、いわゆる定食はなく、ごはんとみそ汁は単品で追加するスタイル。ヒレ(150g、190g、240g)とロース(160g、180g、200g、230g)のみで、お腹の空き具合に合わせて肉の量を選べます。
十勝で生産される3種類の豚肉を使っています
豚肉は「俱来夢ポーク(鹿追町)」、「十勝野ポーク(中札内村)」、「とかち桃花豚(清水町)」の3種類で、「主役である豚肉の仕入れ先を探していた時、たまたま出会ったのが十勝産のものでした。食べた瞬間、これは美味い!と思い、せっかくなら3種類使おうと、仕入れに合わせて提供する豚肉を変えています」。
ヒレは、8cmはありそうな厚さに切った肉に衣を付けて揚げていきます。カウンター越しに料理の様子を見ていると、油の入った鍋が2つあり、途中で肉を移し変えています。これは、焦げ目を付けずにじっくりと火を入れるためで、最初は中温の鍋でゆっくりと、仕上げに低温の鍋に入れることでカラリと仕上がるのだそう。ロースは、最後に再び中温に戻すのがポイントなのだとか。この手間が、プロならではの美味しさを引き出しているのでしょう。
「油はできるだけ新しいものを使いたいので、鍋だと油の処理がラクなのです」とも。なるほど、油の管理も味の決め手の一つと言えますね。
「タレかつ丼」は、卵でとじていないかつ丼です
ヒレは厚めに揚げた肉を3等分にして出してくれます。衣が少なめなので、口当たりが軽やか。噛むうちにほろりと肉の繊維が崩れていくようで、じわりと旨味が染み出してきます。とんかつには白ゴマが添えられ、擦った白ゴマにソースを混ぜて食べるのが‘屋方流’。白ゴマの香りがプラスされたソースはマイルドな印象で、肉の味を引き立ててくれます。
「タレかつ丼」は、ごはんの上にロースをどんと一枚のせ、小ネギを散らした丼。割り下で味付けしたカツと玉ねぎを卵でとじた、いわゆるかつ丼とは別物です。しょうゆベースのあっさりとしたタレがかかっているので、カツの美味しさをシンプルに味わえます。温泉卵を軽く崩してかけるとひと味変わり、ごはんとの馴染みも良くなります。ちなみに米は、屋方さんの実家で作っているもので、福岡産の「夢つくし」という銘柄です。「ゆめぴりか」を思わせる甘味と粘りがあり、これも美味。
穏やかに話す屋方さんの雰囲気そのままの店内で、ゆっくり焼酎を傾けていると、一日の疲れも癒されていくようです。
とんかつ屋方
札幌市中央区南2条西19丁目291-67
サードアベニューレジデンス1階
TEL:080-8627-2647
11:30~14:00(ラストオーダー)
17:30~20:00(ラストオーダー)
月曜夜・火曜休 ※月曜が祝日の場合は営業
Pork Information
「俱来夢農場」が生産する「俱来夢(くらいむ)ポーク」は、豊かな自然に恵まれた環境のもと、エサの原料や配合にこだわることで、旨味のある脂肪に仕上げています。「十勝野ポーク」はケンボローという種類で、清流・札内川の水を飲んで育っています。農場HACCPやJGAPの衛生管理のもと、安全で美味しい肉を目指しています。「青木ピッグファーム」が生産する「とかち桃花豚(ももはなぶた)」は、桃の花のような肉色が特長で、赤身と脂肪のコントラストが鮮やか。特定の病原菌を排除したSPF農場の認定を受けています。
※この記事は2021年3月現在のものです。