お馴染みの洋食メニューがそろっています

地下鉄東西線「琴似」駅、5番出口から出てすぐのマンション1階にある「Univers S.（ユニヴェール　エス) 」。ここでは、オーソドックスな洋食を提供しています。メニューには、ハンバーグ、ハヤシライス、オムライス、クリームコロッケ、グラタンなど、どこか懐かしく、食べていてほっとする料理が並んでいます。

豚肉料理も充実していて、お薦めは「当別町浅野さんの豚ロースステーキ　山わさびソース」。「肉を焼く際は、一気に火を入れると身が縮んでしまうため、お風呂の中でゆっくり温めていくようなイメージです。焦げ目を付けるのは脂の部分のみ。溶けた脂をまぶしながら焼いていきます」と話すのは店主の今平慎太郎さん。出来上がった一皿は、野菜がたっぷりで盛り付けもきれい。豚肉は食べた瞬間、きめの細やかさに驚きます。噛むたびにサクっと音を立てる弾力が小気味よい。ソースは、山わさびの香りがほど良い刺激になり、コクの中にキレの良さを感じます。

食材の声を聞くことから、料理が始まります

今平さんは以前、東京でフレンチと精進料理を掛け合わせた料理を出す店をやっていました。「故郷である北海道で店を始めるのが最終目標でした。北海道は食材に恵まれていますし、僕がお付き合いしている生産者は、常においしさを追求していて、毎年進化した素晴らしい食材を提供してくださるので触発されます。僕の仕事は食材の声を聞くこと。その日の状態を見極め、それに適した調理をすることです」と話します。

ここの楽しさは、カツレツやポークカレーのような、お馴染みの料理も「プロの手にかかるとこんなに違う」と感じさせてくれること。「ポークチャップ」もその一つで、ケチャップで味付けした赤っぽいソースと思いきや、デミグラスソースを使った深みのある色合い。野菜をたっぷり使ったソースは、甘味の中にほんのりと酸味が感じられます。2㎝はありそうなロース肉はヒレ肉かと思えるようなすっきりした舌ざわり。噛んでいるうちに肉のうまみとソースが混ざりあり、まろやかな味わいになります。

常に進化を求める、生産者の姿勢に感動しました

今平さんが使っている豚肉は、当別町の浅野農場が生産するスマイルポーク。「昔のことになりますが、仕事で浅野さんの豚肉を使ったことがありました。そのことを思い出して問い合わせたところ、とても素晴らしい肉質で驚きました。浅野さんの話を聞いていると、とにかく一生懸命。現状に満足することなく、試行錯誤を重ねている姿が素晴らしいですね」。

今平さんが大切にしているのは、家族に食べさせるような気持ちで料理を作ることです。「食べ物は口に入るものですし、健康につながります。ですから、安心して食べられるのが一番。そして、毎日食べても飽きないこと。若い頃は奇をてらったりもしましたけどね」と笑います。そんな今平さんの思いを感じるのが、3日かけて作る「ポークカレー」。魔法のランプのようなポットに入ったルーとライスが運ばれてきます。うまみが凝縮されたルーは、得も言われぬおいしさで、口の中でほろりと豚肉が崩れていきます。

店名の「Univers S.」は、ユニヴェール（フランス語で世界）と名前のイニシャルを合わせたもので、今平さんの世界観によって作る洋食という意味合いなのだそう。今平さんの手にかかった食材が、どんなふうに形を変えていくのか楽しみです。

Pork Information

札幌から車で45分ほどの当別町にある「浅野農場」。ここで生産する「スマイルポーク」は、地元で収穫された小麦を食べて育っています。出荷前の仕上げの時期に与えることで、脂の白さが際立ち、甘味とコクをもたらします。人の健康に良いものは豚にも良いという発想から、水は変換機にかけることでアルカリ化し、カルキを除去したものを与えています。SPF認定（特定の病原菌を排除した豚）を受けた農場内では、もみ殻を敷き詰めたふかふかのバイオベッドの上を、豚たちが元気に駆け回っています。

※この記事は2023年3月現在のものです。