Sopracciglia(ソプラッチリア)〈札幌市〉

Let’s Eat 北海道ポーク!
<オススメの一品>「や豚 もも肉 ジンジャソース(約300g)」2,400円(税込)

店名の由来は、自らのトレードマークである眉毛

札幌駅北口から西方面に向かったマンションの1階にある「ソプラッチリア」。白く塗られたレンガの壁に小さく書かれた店名は、見逃してしまいそう。黒板に書かれた「OPEN」の文字が、店であることを感じさせてくれます。配管が見える天井や使い古した木のテーブル、ところどころに塗り直した跡のあるコンクリートの壁など、手作り感の優しさが感じられます。

オーナーの宇津木幸二さんは、埼玉県出身で12年前にこの店を始めました。「北海道に来たのは、釣りが好きで、いつかは住んでみたいなと思っていました。以前は、宮古島のダイニングバーで働いていたのですが、その時に知り合ったのが妻で、彼女は北海道出身。そんなかんだで、札幌に店を開くことにしました」と話します。ちなみに店名の「ソプラッチリア」とは、イタリア語で眉毛の意味なのだそう。

「宮古島でお世話になった店のオーナーとは今も親しくさせていただいているのですが、店を始めるので名前を考えているという話をしたら、『昔からお前のトレードマークはへの字眉毛だろう』と冗談半分に言われました。それで眉毛かぁと。日本語で眉毛じゃ格好悪いので、いろいろな国の言葉を調べて、娘にどれがいいかを聞いたところ、これと言われたのがイタリア語のソプラッチリアだったんです(笑)」。それをお聞きすると、つい眉毛に目が行ってしまいます。

オーガニックワインとの出合いが、生産者への興味に

ここで使用されている豚肉は、清水町にある「YABUTA’s FARM」が生産する「やぶたぶた」。料理人としての宇津木さんの基本は、オーガニックや無添加など、体に負担をかけない食材を使うことです。宇津木さんがそう考えるようになったきっかけは、宮古島の店にいた時のオーガニックワインとの出合いです。

「オーナーは食材への関心が高い方で、当時はまだあまり知られていなかったオーガニックワインを飲ませてくれたのです。それを飲んだ時、『なんだこれは!』と体に衝撃が走りました。体に入っていくと血が湧き出るようにざわざわしたのです。どういう作り方をしているのかを聞いたところ、無農薬でブドウを栽培し、畑は機械を使わずに馬で耕していると。負担をかけず丁寧に育てたものは、身体のエネルギーになると実感し、食に関わる仕事をするのなら、こうした食材を大切にして、作っている人たちのことをきちんと伝えることも自分の役目だと思いました」。

「やぶたぶた」を知ったのは、野菜の仕入れ先の方からの紹介とのこと。「すぐにお話を聞きに行きました。薮田さんは、お兄さんが自然農法で畑作を、弟さんが養豚を経営しています。お二人とも大学で専門的なことを学んだ後、農業に関わる企業に就職した後、北海道に移り住んで農業を始めています。自然の力を最大限に活用して、安心して食べられるものを作りたいという思いは、まさに自分が考えていたことで、この人の作ったものならと確信しました。実際に食べてみると、豚特有の臭いも気にならないし、柔らかい。脂もくどくなく、舌の上でさらりと溶けていきます」。

「やぶたぶた」は半頭で仕入れ、料理に合わせて使い分けています

お店で使う豚肉は「やぶたぶた」が基本で、半頭で仕入れています。豚肉料理は、その日によって料理法が異なりますが、ローストのような肉のうま味をシンプルに味わえるものになっています。この日はジンジャーソースを使ったモモ肉のロースト。焼き上がってからは、10分ほど寝かせます。そうすることで肉汁が落ち着き、ジューシーな仕上がりになるのだそう。ほんのり甘みのあるソースは、玉ねぎが入っているのかと思いきや、生姜のみとのこと。「自家製ジンジャーエールを作った際の生姜を再利用しているので、その甘味です」と聞いて納得です。

バラ肉はベーコンにして、オムレツにトッピングしています。人気は自家製ベーコンとオーガニックチーズをトッピングした「MIXオムレツ」。丸く仕上げたオムレツにカリカリのベーコンをのせ、チーズをふりかけて完成。自家製マヨネーズとハーブ風味のクリームチーズが添えられています。卵は当別町の農場の平飼い有精卵で、チーズは興部町の酪農家のもの。何もつけずに食べると卵のコクがストレートに感じられます。溶けかかったチーズと熱々のベーコンとの組み合わせは絶妙。すっきりとした手作りマヨネーズは、卵の味をさりげなく引き締めてくれます。メニューに食材の説明を添えていることからも、農家さんのことを知ってもらいたいとう宇津木さんの思いが伝わってきます。一見、添え物のように思われる野菜やソースなどからも美味しさの発見があり、食べ終わった頃にはお腹も心も満たされています。

モモ肉で自家製ハムを作ることもあるそうで、メニューにハムが登場することも。運が良ければ、不定期で入荷する「やぶたぶた」のホルモンに出合えるかも。

MIXオムレツ 1,200円(税込)

Pork Information

やぶたぶた

十勝の清水町にある「YABUTA’s FARM」は、兄弟で経営する農場で兄が自然農法での畑作を弟が養豚を行っています。「YABUTA’s FARM」で生産される「やぶたぶた」には、兄の農場で作られる安心・安全な野菜や、抗生物質や駆虫剤のほか、動物性の原料も使用しない飼料を与えています。健康管理や衛生管理を徹底することで、豚の力を最大限に生かした安心ポークは、柔らかな肉質ととろけるような舌ざわりの脂が特徴。豚肉本来の美味しさを味わえます。

Sopracciglia(ソプラッチリア)

札幌市北区北7条6丁目1-1チェリス札幌第2 1階
TEL:011-776-6663
火曜~土曜 17:00~23:00、日曜15:00~21:00
月曜定休

※営業時間や定休日が変更になる場合がありますので、あらかじめご確認をお願いいたします。

※この記事は2025年4月現在のものです