看板メニューに考えたのが、地元の豚肉を使ったハンバーグ
伊達の道の駅にほど近い国道37号線沿いにある「レストランこだま」。道沿いにある、包丁を持ったコックが豚を追いかける奇抜な看板に目を奪われます。
「洋食のコックをしていた父親が始めた店で、看板はインパクトのあるものをということで開店時に看板屋さんに作ってもらったものです。当時は残酷だってよく言われましたが、今はそれを逆手に取って、このイラストでTシャツを作ったりしています」と、笑うのは店主の小玉元司さん。いずれは店を継ごうと思っていたため、高校を卒業後は東京の調理師学校へ通い、焼肉店で働いた後に帰郷。父親亡き後は、母親の元子さんと共に創業47年になる店を守っています。
国道沿いなのでドライブイン感覚で利用してもらえるよう、開店当初から洋食のほかにそばやラーメンなど多様なメニューを提供していましたが、これではいけないと思った元司さんが考えたのが看板メニュー作り。「これを食べたいと目指していただくには、どの料理がいいのか随分悩みましたが、選んだのはハンバーグ。地元には美味しい豚肉があるし、北海道は豚肉文化なので、豚肉100%にしています」。
老若男女に好まれる、家庭的なハンバーグ
ハンバーグを看板料理にすべく、メニュー構成をがらりと変えました。現在はエビフライや焼きカレーなどの洋食を中心に、地元の豚肉を使ったかつ丼やとんかつなどを加えた、定食感覚で食べられる料理に絞っています。
「どうなることかと思っていたら、ハンバーグがテレビで紹介されました。そのおかげもあり、わざわざ来てくれる人が増えましたね」。ハンバーグを注文すると、最初に届くのが、千切りキャベツがたっぷり入ったサラダと小鉢。サラダや小鉢をつまんでいると、鉄板プレートから焼き音を立てながら湯気の上がるハンバーグがテーブルに。ほどなく、たっぷりのごはんとみそ汁が届いて、全品勢ぞろい。「例えるならつくねに近い仕上がりです」と元司さんが言うように、ハンバーグはしっとりとした舌ざわり。塩・コショウがメインのシンプルな味付けなので、肉の味がストレートに伝わってきます。和風の洋食といった印象のハンバーグは、ごはんやみそ汁に合う。どこかほっとする家庭的な味わいが、老若男女に好まれているのでしょう。
ここで店をやるからには、地元の食材を使うのは当たり前
「うちで使っている黄金豚(こがねとん)」は、地元の人には知られた豚肉です。輸入ものは手頃な値段で手に入りますが、やっぱり味が違う。特に冷めた時に違いを感じます」と元司さん。
確かにテイクアウトしたハンバーガーを食べた時も脂のべたつきは気にならず、歯ごたえのあるパテは肉のうま味をしっかり味わえます。黄金豚を堪能するなら、かつカレーもお薦め。厚めのカツからは、噛んだ瞬間に肉汁がじんわり染み出してきます。隠し味にバナナやマンゴーを使ったルーはまろやかで、カツのボリュームもうれしい。
「幼い頃は、この辺りにも養豚をしている農家が結構ありました。ここで店をやるからには地元の豚肉を使うのは当然だし、伊達は野菜も美味しいから、いずれは地元の食材を使って近くの養護学校の生徒と一緒に加工商品を作りたい。父親は昔から養護学校の生徒さんを受け入れて、店で接客をしてもらったりしていたので、自分も何かできればと思っています」。店の営業が終わったら、肉の仕入れや高齢者用の宅配弁当の配達へと、元司さんは伊達のまちを駆け回っています。
Pork Information
黄金豚
噴火湾を見晴らす伊達市の黄金町にあるのが、「黄金豚(こがねとん)」を生産する「オオヤミート牧場」。ここでは種豚の育成、養豚、食肉の加工販売までを自社で対応しています。豚がのびのびと育つよう、豚舎は一頭あたりの面積を広めに設計。エサには近隣の牧場から提供されるホエー(チーズを製造する際に残る水分)を与えることで、豚の腸内環境を改善。ストレスをかけず、ゆっくりと時間をかけて育った豚は、脂身にすっきりとした甘みがあります。
レストランこだま
伊達市萩原町107-4
TEL:0142-23-4661
11:00~14:00、11:00~15:00(土曜・日曜・祝日)
不定休
※コロナウィルスの感染状況により、営業時間や定休日が変更になる場合がありますので、あらかじめご確認をお願いいたします。
※この記事は2023年4月現在のものです