出張先での出会いが看板メニューづくりのヒントに
定山渓温泉街にある「心の里 埜のてらす」は、「定山渓時間をもっと面白く、もっと美味しく」をコンセプトに2022年11月にオープンした施設。運営するのは、温泉宿を運営する「ふる川」グループで、敷地内には散策エリアやドッグラン、ツアーデスクなどがあり、“美味しい”を提供しているのは「埜の山キッチンはるらんな」です。木のぬくもりが感じられる店内には、囲炉裏を囲むカウンター席や倒木を使ったテーブル席、愛犬を同伴できるテラス席があります。
「うちの看板メニューはシチューです。料理には、古川ポークと地元の野菜を使うことは決めていたのですが、看板メニューを何にするかは随分と悩みました。なにせ、社長は食に対する愛情が尋常じゃない(笑)。やるからには、よそとは違うものをと考えていた時に、社長と名古屋に出張に行きました。そこで出会ったのが素晴らしいシチュー。これだ!とビビッときましたね。美味しい豚肉があるのだからポークシチューにしようと、試作を始めました」と、外食事業部長の櫻庭充史さんは話します。
名前つながりで見つけた豚肉は、何と近くの養豚家さんのもの
古川ポークをフォンドボー(洋風だし)と白ワイン、トマトで煮込んだのが「北海道 埜のシチュー」。肩ロースをはじめ、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎなど具だくさん。汁を飲むというよりは、野菜のペーストを食べるといったボリュームいっぱいの一品です。口の中でほろほろ崩れる豚肉に「こんな美味しい豚肉を食べたのは初めて」と、お客様からも好評です。
「古川ポークとの出会いには不思議な縁を感じます。日頃から食材を探しているので、古川という名前の豚肉があるからと取り寄せました。すると、同じ南区の養豚家さんが生産していると知ってびっくり。食べてみるとその美味しさに2度びっくりでした。肉質が柔らかく甘味もあり、ポテンシャルの高い肉だと思いました。せっかくなら、いろいろな美味しさを味わっていただこうと作ったのが古川ポークのオリジナルシチュー。埜のシチューにソーセージかベーコン、ロースハムのいずれかをトッピングできます」。
「ナポリタン」のソーセージにも古川ポークのソーセージが使われています。ほどよい酸味のトマトソースは、喫茶店ナポリタンとはひと味違うちょっと大人の味わい。トッピングの半熟卵と粉チーズ、生野菜が目にも鮮やかです。
豚肉そのもののうま味を堪能するなら、焚き火グリルを
豚肉の美味しさをシンプルに味わうなら「古川ポークの焚き火グリルコース」がお勧め。わらを敷き詰めたバーミュキュラ(鋳物ホーロー鍋)でローストした豚肉を、焚き火で軽く焼き目をつけて仕上げることで香りづけをしています。柚子とクルミが入ったオリジナル味噌ソースを付けることで、ぐっと味が引き締まります。スープやサラダ、スモールサイズのシチューも付いているのでコース感覚で食べられる豪華なメニュー。
「この日の野菜スープは玉ねぎです。味付けはオリーブオイルと塩のみで、無水調理した後に、南区の湧き水「豊滝龍神の水」を加えて煮込んでいます。とろみがあり、玉ねぎそのものの甘さをストレートに感じていただけます。食べた瞬間、思いもしなかった濃厚なうま味に皆さん驚かれています。シチューや焚き火グリルに付いているフォカッチャも自家製ですし、自分たちで手をかけて作るのが、私たちのモットー。そうすることでお客様に気持ちが伝わると思っていますので、手間を惜しまずに頑張っています」と話すのは、ホール担当の阿部正吾さん(写真)。
春は定山渓の風物詩でもある「渓流鯉のぼり」、冬はキャンドルに彩られる「雪灯路」というように、季節のイベントもあるので、食べて遊べる定山渓にお出かけしてみてはいかがですか。
Pork Information
古川ポーク
札幌市南区にある「古川農場」。札幌岳の麓に広がる豊滝エリアの清らかな水と空気のもとで育つのが「古川ポーク」です。大ヨークシャーとランドレース、デュロックという3種類の豚を掛け合わせた三元豚を生産し、生後90日以降の豚へは抗菌剤を含まない飼料を使用。出荷前の仕上げには非遺伝子組み換えのトウモロコシを使った飼料を与えています。全道枝肉共励会・肉豚の部で全道最優秀賞を受賞した経験を持つ豚肉は、2022年に定山渓で開催された将棋の王位戦で藤井聡太棋士の将棋めし(勝負めし)に使われました。
埜ノ山キッチン はるらんな
札幌市南区定山渓温泉西4丁目371-2 心の里 埜のてらす内
TEL:011-206-1234
レストラン11:00~15:00
木曜定休
※営業時間や定休日が変更になる場合がありますので、あらかじめご確認をお願いいたします。
※この記事は2024年4月現在のものです