石狩には、素晴らしい豚肉があるのだから使わない手はない
石狩市役所にほど近い、石狩市の花畔(ばんなぐろ)にある「美食工房 花」。周囲には公共施設や会社も多く、昼どきは近くの会社員たちで賑わい、夜は職場の集まりに。週末は、家族や仲間との食事の場として親しまれています。
料理長の松浦紀雄さんは、すすきのの和食店で働いていたところ、縁あって8年ほど前に地元である石狩に戻ってきました。「望米豚(もうらいとん)は、以前勤務していた店でも使っていたので、美味しさは折り紙付きです。それに、何かの時に三國清三シェフもこの豚を絶賛していました。地元の豚肉ですから、石狩の店が使わない手はない。それで、農場を訪ねてお願いしました」。
代表者にお会いしたところ、快く受け入れてくれ、飼料や生産現場のことも丁寧に説明してくれました。「札幌近郊の食品会社などから出る食品ロス(未使用の食材)を有効活用して自家製の飼料を作っているとか、豚に関する話を聞いていると愛情いっぱいに育てているのが伝わってきて、大切に使わなくてはと気持ちを新たにしました」。
肉は塊で仕入れ、真空状態で2週間ほど熟成させています。熟成させることで、まろやかな肉質になるようです。
いろいろな料理で、豚肉を堪能できます
望来豚を使ったメニューは、「もうらいどん」「望来豚の角煮」「望来豚のカツ煮定食」「望来豚そば」「望来豚せいろ」「望来豚ハンバーグ定食」などがあり、骨付き肉の醍醐味を味わえるのが、ほんのり甘めのタレをからめた「スペアリブ」。単品メニューのほか、「望来豚のスペアリブ丼」もあるので、酒のつまみにするもよし、食事として食べるもよし。骨を持ってかぶりつける豪快さが楽しい。食べやすいよう骨付きは1切れで、あとは食べやすいようにカットしてくれています。
「もうらいどん」はいわゆる豚丼で、肩ロースとバラ肉を使っています。ごはんが隠れるくらいたっぷりと肉がのっているので、ボリューム満点。1人前で200gも使っているそうです。タレのしみたごはんの美味しさは言うまでもなく、ごはんの上にふりかけた海苔の香りも香ばしい。「望来豚せいろ」は、「鴨せいろ」をヒントに、温かいつけダレに角煮を入れたもの。ごろんとした肉が、口の中でほろほろと崩れていくのがたまらない。「こんな食べ方もあり」と思わせてくれます。
石狩鍋だけではない、石狩の美味しさを伝えたい
「石狩と言えば石狩鍋と思われるのですが、石狩には望来豚のような美味しい食材があります。地元の方でも知らない方がまだいらっしゃいますので、もっと多くの方に食べていただきたいですね。最近は近くにコストコが開店したので、買い物帰りに寄ってくださる方も増え、メニューを見て『こんな豚肉があったんだ』と注文していただいています。ファンが増えて、『石狩の名物と言えば望来豚』と言われる日が来ると、うれしいですね」。
「その土地の美味しさを、その土地で味わってほしい」と言うのが松浦さんの思いでもあり、料理にはできるだけ地元の食材を使うようにしています。
石狩の新しい名物を食べに、ドライブがてら出かけてはいかがでしょうか。小上がりは椅子席になっており、落ち着いた雰囲気なのでゆったりとくつろげます。
Pork Information
望来豚
石狩湾を望む小高い丘の上にあるのが、「望来豚(もうらいとん)」を生産する、「ノース・ベスト・ファーム」。飼料は自家製で、ジャガイモやパン粉、麺類などを細かく砕き、牛乳を混ぜることでスープ状にして乳酸発酵させています。原料は、札幌近郊の食品会社などから出る食品ロス(規格外などの未利用食材)を使い、糞尿を活用したたい肥は、提携する農場に提供することで、循環型の農業を目指しています。
肉質は、細かな霜降りが入っているのが特徴で、脂は甘味があり、あっさりとした口当たりです。
美食工房 花
石狩市花畔3条1丁目12-1
TEL:0133-64-8606
11:30~14:30、17:30~22:00(日・祝日の昼は会食予約のみ)
火曜休
※コロナウィルスの感染状況により、営業時間や定休日が変更になる場合がありますので、あらかじめご確認をお願いいたします。
※この記事は2022年3月現在のものです